定員超過減算と人員欠如減算の扱いについて(参考)
今日ウエブの記事を見ていたら、関西の同じNPO法人が運営する2事業所の指定取り消しが掲載されていました。
取り消し事由としては①利用者数が定員を大幅に上回っているのに必要な給付金の減額を行わなかった②従業員が不足しているのに、足りているように装った
の2点のようです。事業所は不服申し立てを行う予定なのだそうです。
不服申し立てとは
不服申し立てとは、行政庁が行った処分に不服がある場合に処分庁に対して行うものです。この場合処分を行ったのは市役所なのですが、障害福祉事業所の指定権者としての地位は都道府県と同一のようです(いわゆる中核市なのでしょう)。そうすると都道府県は上級庁にはならないので、審査請求は処分した市役所になるような気がします。(法律の専門家ではないので間違ったらごめんなさい)。
利用者数が定員を大幅に上回っているのに必要な給付金の減額を行わなかったことについて
通常就労継続支援B型事業所は定員があり、20名とか決めて指定を受けるわけです。その事業所に25名登録していても、毎日20名を超えない範囲で受け入れていたり、企業と契約を結び、施設外の相手方企業の指定する場所で支援員とともに就労に出た場合はその分定員の範囲内で新たに利用者を受け入れることができたりします(施設外就労)。
本件とは関係ない話ですが、利用者数って月の延べ利用者数を開所日数で割るので、月から土曜日まで開所の届け出を出して20人ぎりぎりで、実際土曜日は開所していなくて割りなおしたら定員超過っていうこともあるのでしょう。指導に入ったら実際土曜日はサビ管も支援員も通勤実績がなかったというパターンです。
利用者が1日で定員を超えていてもひと月を通し超過分が25%以内ならば定員超過として減算の必要はありません。なお、減算にならなければいいといううことじゃなくて、そういうことをやっていると普通に運営指導で指摘されたりします。また、1日でも50%を超えて受け入れるとその日の報酬は減算を適用しなくてはいけません。この場合定員超過減算として単位数の70%で算定する必要があります。
従業員が不足しているのに、足りているように装ったことについて
例えば利用者に対する配置基準で7.5:1を届け出ている事業所で必要な人員は前年実績をもとに算定します。前年度の平均利用者数が20人の場合には2.7人(うち1人は常勤)必要になります。でもこれ、定員を大幅に超過していたら前年実績もでかくなるので、提供職員減算も一緒についてきそうです。
必要人員に満たない場合には、サービス提供職員欠如減算を1割以上の不足でしたら翌月、1割の範囲内でも翌々月から不足が解消した月まで7割、5割の単位数としなくてはいけないのです。
制度は複雑でわかりにくい
障害福祉の制度は解釈が微妙な部分も多く、なかなか難しいです。
定員の考え方にしても、人員の考え方にしても指定する都道府県などによって違いがあるかもしれません。事業所が不服申し立てと書いてあるのもあるいは解釈に相違があったのかもしれません。
都道府県などが処分を行う場合、いきなり「取り消しだー」っと通知するわけではなく、運営指導から監査に移行し、聴聞を経たうえで行っているのでしょうから、その背景がわからないと何とも言えません。
指定権者の行う集団指導を毎年受講して制度を確認することが大事だと改めて思いました。