暫定で導入されたものが続いています_参考程度にお読みください
先日「就労継続支援B型事業所を作ろう」で記載したように、気がかりさんのわが子のために事業所を作ろうと思ってもなかなか大変なことをご説明しました。
もしできたとしても、安定して運営していくためには、収益の向上を図らなくてはいけません。特に最初の1年目は、工賃による訓練等給付費の区分が1万円未満と一番下の区分で始めなくてはいけません。
私も就Bの請求事務に従事したことがありますので、若干の知識はあります。これだけでは、運営は困難と思います。
事業所が最も取りやすい加算は、令和6年度改正で、2個イチならぬ3個イチされた「処遇改善等加算」になります。これは従来の処遇改善に、特定処遇改善加算やベースアップ加算を足したもので、なんかすこしちょろまかされた気もしますが、だいたい同じように出来上がっています。ただし、この加算は1割負担の利用者の負担が増すだけで、利用者にとって何のメリットもない、物価を配慮した事業所へのお手盛りみたいなものです。また、「こんなことをやったら加算、これもやったら加算ね」みたいに継ぎ足し型ですので、またなにかつぎ足すかもしれません。指定する自治体によってはさらに「これで加算ね」みたいな別の補助金を加えているかもしれませんが、その部分は単独事業(訓練給付費とは別の事業)かもしれません。
これでは利用者は集まりません。
(処遇改善をすることで、支援員の定着化・支援の充実はできるのかもしれませんが、国の担当者は本当に効果を確認しているのでしょうか。)
利用者にとって負担が増えても、ありがたいものに「食事提供体制加算」と「送迎加算」があります。
食事提供体制加算とは
食事提供体制加算とは、「食事提供のための体制を整えているものとして届け出た事業所において、食事の提供を行った場合に日単位で算定」されるもので、簡単に言えば、就B事業所で昼食を出してあげると30単位(300円強)もらえますということです。
ただし、食事を300円で出したら、利用者はただで食事ができてうれしいかもしれませんが、材料費も出ないかもしれません。これでは利用者とウィンーウィンではありません。
そこでその300円はまず調理する際の人件費にあてて、残りを材料費に充ててよいこととなっています。残りの材料費は実費徴収する必要があります。(このことは「重要事項説明書」に記載したほうがいいと思います。あとから「聞いてないよ」とか言われないように。)
該当者は受給者証に表示される
食事提供体制加算を取るとしても、利用者により、経済的な負担はまちまちです。したがって、制度では低所得(住民税非課税等)の利用者さんの受給者証に「食事提供体制加算」と書くことで該当者を明示しています。
もっとも、18歳以上の所得の認定は本人と配偶者のみで判定するので、ほとんどの方が対象ではないでしょうか。(放課後デイなどは18歳未満のサービスなので保護者を含めた所得判定になります。)
提供する食事とは
「じゃーみんなで交代でお弁当を買いに行きましょう。300円の補助が出ます。」というのは認められない可能性が高いです。要件部分に購入したお弁当は除外とありました。仕出し弁当は駄目ですが、食事がまずくても加算はもらえます。でも利用者がいなくなってしまうので、調理に自信のない方はやめたほうがいいです。
ではどうすればいいのかといいますと、①調理員を配置して、調理を行い、配膳を行う。②クックフリーズ、クックチルド、クックサーブなどの方法で委託業者等から納入されたものを調理員が準備して配膳する。③委託業者にすべてやらせる、の3方法があると思いますが、②の場合に調理員が必要かどうかは指定する都道府県によって違う気がします。栄養士と違い、特に資格はありません。
クックサーブというのは作ったまま運んできて提供するということで、「中心温度が65度」と書いてあります。「さめちゃったかな」としゃぶった指を突っ込んだらやけどする温度ですし衛生上問題があります。必ず温度計で確認し保温容器が必要ですので、立ち上げたばかりの事業所では現実的ではありません。じゃあ「お刺身定食」を献立に入れたら蒸しあがってしまいそうです。生のものは駄目そうです。
令和6年度から追加された要件
食事提供体制加算ですが、令和6年度から追加された要件がいっぱいあります。なんか国は本当はやめたいので、めちゃくちゃ色々条件をくっつけたのか、あれもこれも足してみたのかわかりません。(利用者の栄養状態がわかるのでしょうか。)
①栄養士が献立を年1回確認②毎日の食事の量(全部食べたか、半分食べたか、残したか)③半年に1回の体重、BMI測定などが追加されました。②の量なんかは支援記録等に書いとけばいいのかもしれませんが、支援にあたる職員も食事しているわけですから、お休みの時間も働くということでしょうか。
栄養士の確認はクックフリーズなどの場合には、委託業者との契約書に入れておけば安心かもしれませんが、都道府県に確認したほうがいいです。
大変だが喜ばれる
事業所に加算分のメリットはなく、場合によっては持ち出しかもしれませんが、利用者にとってのメリットは大きく、利用者増の助けになるかもしれません。