障害福祉事業所が監査で取り消しになりそうな場合、どうすれば影響を小さくできるか

判決 障害福祉サービス

監査での取り消しに必要な手続きとは

事業所を立ち上げ、運営していくうえで一番怖いのは監査に入られて取り消し処分になってしまうことでしょう。
ではどのような場合に監査に入られて、取り消しを防ぐことができるのか、考察してみます。でもこれは決して不正をしていいということではありません。

運営は適正にするのがいい

事業所の運営はもちろん適正に行う必要があります。
例えば就労継続支援B型の場合、厚生労働省の方針では3年に1度は運営指導に入ることになっています。監査を防ぐために大事なことは「運営指導で適正と判定してもらう」ことです。だって、世の中たくさんの人がいます。利用者だってすべて正しいことをいうわけでも、支援員の中にもいざこざでやめて、事業者に恨みを持っている人など、たくさんいるかもしれません。
当然、指定機関に「悪いことをやっている」といった内部告発や苦情が寄せられているはずです。正しい苦情もあれば、逆恨みもあります。
ここで、運営指導の際、例えば口頭(助言)事項のみしかない場合、また、文書指摘があっても「改善報告書」に基づいてきちんと改善、報告が行われている場合、指定機関はたくさんある苦情の中で優先して監査を実施する可能性が下がると思います。

どのような場合に監査を行うか

いつもお忙しい指定機関が、わざわざ「監査しなくてはいけない」と考えるのはどのような場合でしょうか。

①運営指導で改善が見られない場合。②虐待等の報告があり、緊急に運営指導に入り、監査の必要を認めた場合。の2点ではないかと思います。(ほかにA型事業所で経営状態が悪い場合も例外的にあります。)

②の虐待の場合、大変重大な問題ですが、監査で取り消しに結び付くのはあまりなく、「新規利用者の受け入れ停止」などの一部効力の停止ではないでしょうか。特にこういった苦情は入所施設に多く、社会福祉法人として地域でも実績が多く、簡単に処分できないと思います。

①の運営指導でも、通常の3年に1度のもので、きちんと改善していれば監査には移行しないと思います。

「サービス管理責任者がかけた状態で報酬請求し、改善済みとの虚偽の報告や、出勤状況報告の捏造」の場合、監査の中でも取り消しに結び付いている例が多いです。嘘はいけないといいますが、まさにこのことではないでしょうか。

指定取り消しの効果

私のような初学者が想像できる取り消しの効果は、
①指定の効力が将来にわたり消滅②不正に請求された自立支援給付費および加算金40%の返還義務③法人にかかわる方の今後5年間の障害福祉事業従事制限
があります。

取り消しが確実な場合の唯一な方法

取り消される前に、廃止してしまうことです。

取り消し等の処分を行う場合、必ず「聴聞」を経なくてはなりません。聴聞までは一定の期日を開ける必要があります。
他方「廃止届」は通常廃止を行う1か月前までに指定権者に提出する必要があります。

時間の勝負です

監査に入られた場合、即座に廃止届を提出した場合、よっぽど指定権者が準備していた場合を除いて1か月以内に取り消しまで行くのは困難ではないでしょうか。なぜなら当然記者発表をするはずですし、その場合、福祉関係の部長級職員の事前承認を経なくてはなりません。また、聴聞日程の調整もあり、即座に廃止届を提出されたら間に合わないように感じます。

ぎりぎりの例として最近京都市で就労継続支援B型の事業所が監査になり、廃止届が提出され、京都市の指定取り消しが廃止指定日の1日前になっていたケースなど、行政機関内でのあわただしさが想像されます。

取り消しがなくなれば従事制限をかけることは不可能になりますが、不正請求の返還は必ず行われるものですので、やはり疑問点は指定権者に確認しながら、確実に進めるのが一番大事と思います。以上初学者の考察でした。

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