初学者として考察してみました
先日厚生労働省の発表で障害福祉分野での賃金1万円向上がありましたが、介護福祉との差があることにいろいろな意見がありました。昨今の賃金の向上や物価の上昇について初学者として考察しました。内容は学習レベルですので、必ず指定権者に確認してください。
令和5年度までと6年度以降で処遇改善加算の要件等が変わっています
障害福祉に従事する職員の定着等を目的として賃金や職場環境などの改善を行った場合に、①体制届に記載②計画書の提出③年度末翌々月末までの報告書の提出をすることで一定割合の加算が受けられるようになりました。この加算、基本報酬だけではなく、ほかの加算等を含めた合計に対して割合をかけられるので、意外と大きいものです。特に昨今話題の「就労移行支援体制加算」などは金額的に大きくなりますので、当然処遇改善加算も大きくなります。
令和5年度までは管理職員以外が対象となる「処遇改善加算」とすべての職員が対象となる「特定処遇改善加算」がありました。この加算、特に後者の特定処遇改善加算については、職場環境を改善して、その内容を公表する義務がありました。法人のホームページ等を利用して公表してもいいし、WAM-NET(障害福祉サービス等情報検索)を利用してもいいものでした。当初は公表は努力義務でしたが、令和5年度分は完全義務化され、公表がないと返還義務が生じる可能性があります。運営指導等は当該年度と前年度が対象になることが多いのですが、加算に関する書類は過去5年分保存の義務があるので、確認されるかもしれません。特に指定権者等はWAN-NETの内容は運営指導前に確認するでしょうから、特定加算に関する事項が「なし」と表示されていれば対象とされる可能性もあります。最も対象年度以外であれば、結果通知に対象外年度にかかわるものは書けないので「自主的に返還するよう口頭で指導」かもしれません。
令和6年度改正からは処遇改善等加算になりました
令和6年度の改正から(正確には令和6年6月分から)処遇改善加算と特定処遇改善加算が合わさり、「特定処遇等改善加算」となりました。令和7年度の「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに 事務処理手順及び様式例の提示について(令和7年度分)」通知も参考にしてください。月額賃金改善要件やキャリアパス、職場環境改善等を行った場合それぞれの区分に応じて加算が取れるものです。「処遇改善加算Ⅰ又はⅡを算定する場合は、職場環境等の改善に係る取組について、ホームページへの掲載等により公表すること」とあり以前と同じように公表の義務はあります。
物価高騰について
食事提供体制加算をとる場合は加算を人件費に充て、残りがあれば材料費に充てられますが、材料費は基本的に利用者から徴収する必要があります。コメ価格の上昇など、材料費にかかわる部分の上昇をどのように転嫁するかは難しいと思います。ただし適正な価格で徴収されているかは運営指導の際に確認される可能性はあります。
送迎加算も片道1回百円程度の加算ではガソリン価格の高騰で厳しいかもしれません。
自治体独自の対策
令和6年度の実績ですと、自治体ごとに事業者に「障害福祉施設等物価高騰対策支援金」の交付要綱を定め、給付を行っています。
でもこれ、自治体が身銭を切っている部分は少なく、厚生労働省から補助金が出て、全額補助で執行されています。(地方の事業でも会計検査等の対象になります。)内容的に「物価の値上げの中頑張っているね」という補助金的な色彩が強く、ガソリン実費の値上げをしたなどの場合は対象外とする市町村が多そうです。
先日可決されました補正予算でも「障害福祉等分野における食材料費・光熱水費高騰等への支援重点支援地方交付金」を含め646億円が計上されていますので、指定権者ではすでに要綱施行の準備にかかっていると思います。7年度の申請を3月に受け付けるのでしょうか。
工賃も上がっているようです
令和6年度改正でより工賃を上げた実績を持って翌年度の報酬を算定できる色彩が強まりました。結果工賃水準自体も上がっているようで、新聞報道等では放課後デイやグループホームと並んで、就労継続支援B型について令和8年度に減額の方向で改定がされるとの内容がありましたので、4月からですと令和8年1月ごろに詳細が出るのではないでしょうか。
