関西で話題に上がっている「就労移行支援体制加算」について考えます

とんぼ 障害福祉サービス

市長が記者会見していました

「就労移行支援体制加算」について初学者として考察します。

就労継続支援事業所の利用者にはいろいろな方たちがいて、特別支援学校から進んだ方や一般就労が困難で認定を受けて利用する方などがおられますが、本来一般就労が適しているのに、事業所が利用者をそのまま確保したいために一般就労を勧めないなどがあると、本来の自立支援を促せないので、事業所を経て一般就労した場合、「6か月続けば加算をつけてもいいよ」という制度が就労継続支援や自立支援にある「就労移行支援体制加算」です。加算は翌年度1年分すべての利用者に利用1回につき所定単位加算できます。例えば定員20人の事業所でスコア(評価)が中央の「評価点が80点以上105点未満」の場合65単位(約650円)となります。

ここでの一般就労は雇用契約を締結して就労すればいいので、毎日の勤務である必要はありません。また、運営法人への就職であっても条件を満たせば加算の対象となります。

就労継続支援A型の特徴

就労継続支援A型はこれまで、就労アセスメントを受けたうえで暫定支給決定を2か月程度受け、事業所からA型の利用に問題がないとの報告を受け、市町村が支給決定を行います。支給期間は通常1年間ですが、更新も可能で特に上限はありません。就労継続支援B型と違い工賃ではなく最低賃金以上の支払いが必要で、それに合わせた生産活動が必要です。なお、令和7年10月からアセスメントではなく就労選択支援を経ることが決まっていますが、修理鵜継続支援A型は当面対象ではありません。

ここで暫定支給決定なのですが、利用にあたって2か月の暫定支給を行わなくてはならず、その後に市町村で支給決定をするのですが、支給決定市町村によりますが、当初初回のみ決定を行えばよく、再度の利用には暫定支給を行わない場合がほとんどです。したがって利用→一般就労→利用と繰り返した場合、適否を考える暫定支給は1回しかないかもしれません。

就労移行支援体制加算の再度の加算

新聞の記事では、一般就労に移行して運営法人に6か月雇用されて翌年度加算を受けて再度利用者として利用して、また再度雇用されて加算を受けるということでしょうか。
この場合、2023年度までは再度の加算を取得する期間の定めはなかったので、可能であったようです。ただし、2024年度の報酬改定で再度加算は3年間は取れないというようになったようです。

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.7 (令和7年1月24日)(「過去3年間において、当該指定就労継続支援A型事業所等において既に当該者の就労につき就労移行支援体制加算が算定された者にあっては、都道府県知事又は市町村長が適当と認める者に限る。」と規定)
ただ、上記Q&Aでは「また、支給決定を行う自治体においては、請求内容が不正と疑われるような場合には、指定権者への情報提供を行うなど、自治体間で適宜連携を図られたい。」と表記されており、支給決定を行う市町村はきちんと本人の特性を判断して支給決定を行わなくてはいけないということです。

今回一部記事では24年度改正後も前年実績に基づき加算が算定されていたとのことですが、それが正しいのかどうか初学者の私にはまったくわかりません。ただし、指定権者は加算の対象者を体制届で確認できたはずですし、支給決定を行う市町村も実際に面談のうえ支給決定を行っているので、自治体が制度変更に合わせた対応ができていたのか、興味があります。(体制届は提出を省略できる場合もありますが、A型の場合、スコアの確認がありますし、未公表減算の関係で公表方法を確認しなくてはいけないので提出を義務付けている自治体が多いのではないでしょうか。)

でも実は就労継続支援よりも生活訓練のほうがメリットは大きい

実は、就労移行支援体制加算は「自立訓練」でもとれるんです。しかも生活訓練は24か月が基本的な支給上限となるので、20人の事業所であれば10人ずつ毎年卒業するわけです。全員が一般就労に移行するとは限りませんが、半分の5人が一般就労に移行しただけで54単位5人分(20人定員の事業所)が利用者全員の毎日の単位数に宇和野出になりますので、定員いっぱいに利用者がいると、原則日数で23日でも125000単位上乗せになり、年間1600万円以上上乗せされます。

就労継続支援と違い、自立訓練の場合は再度の支給決定は基本的にできません(本人の状態像が変わった等の理由があればできます)。事業所は引き続き新規利用者の獲得をしなくてはいけません。
ただし、就労移行や生活訓練は休職から復職に向かう方の支援を行うことが令和6年度の報酬改定で定められており、(もちろん就労継続支援も休職中で復職を目指す場合利用できるのですが、療養給付費を受給中の工賃・賃金受領は職場の了解が必要となります)生活訓練は今後ますます役割が増すと思います。

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