先進機器と古来のやり方の矛盾
小学校の成績は時間ごとに行われるテストの成績、日ごろのノートの整理などが反映されます。教員は時間終了後学級委員等に全員のノートを提出させ、放課後に確認します。
先生のお仕事はいろいろです
いやー大変ですね。児童の下校後にいろいろやることがあるのに、ノートの確認やコメント付けまで行わなくてはいけないとは。
そのノートのもととなるのが、先生が黒板に記載したものを児童自身がノートに書き写す板書になります。
でも考えてみてください。長男君は矯正視力が0.5程度の弱視で、かつ集中できないADHDです。板書に対応できるはずがありません。個別支援学級の先生にもそのことをお話しし、ノートによらない評価の仕方はないかと相談しましたが、「中学に行くとますます板書は重要になりますので、除外できません」と説明されました。
デジカメで対応
悩んでいるとき、教員から提案されたのが、「デジカメで黒板を写して、放課後デイでプリントアウトしてノートを作る」ということです。デジカメは学校では貸せないので、持ち込みになりますとのことでした。
幸い私は何台かデジカメを持っていたので、一番簡単に取れそうで、画質もそれなりにいいものを選び、持たせました。パナソニックのLUMIX FX-9になります。2009年ごろの発売でしょうか。すでに5年ほどの型落ちでしたが、もうこのころには基本的な技術は確立していて、あとは画素数とか明るさとかノイズとかの進歩になるのでしょうか。
落下や紛失の心配もありましたが、幸いそういった事故はありませんでした。

黒板をデジカメで撮るというのは、目立つしなかなか大変かなとも思います。教員のサポートもあり、何とかできるようになっていました。
通っていた放課後デイではプリントアウトの協力もしてくれ、放課後サポートもしてくれました。当時は今ほど放課後デイの数も多くはなく、たくさんの児童さんを抱える事業所でしたが、こういった事業所があって放課後デイの認知度が広がり、現在のようにあちこちで見かけるようになったと思います。本当にいい事業所でした。
板書をすべて貼り付けてしまうと支障があるかもしれないので、一部のみ。当時は黒板チョークです。今はホワイトマーカーでしょうか。

根本的な問題は解決されない
何とか軌道に乗った板書でしたが、成績についての問題は解決されません。
そう、個別支援級では5段階の成績評価がつかない、内申書にも反映されないことです。
これではいまだに内申書が必須の私立中堅中学校には出願が困難です。成績評価のない内申書を提出されて、出願先ではどう対応してくれるのでしょうか。東海道線沿線にある藤沢市の一貫校では「当校では受け入れできません」と本人と話さずに拒否られました。
個別支援級でも交流級に行けた際には評価をつけてほしいです。中学受験が難しくなります。
面談の際にもなかなか理解できなかったのですが、板書って絶対必要ですか。半世紀前から変わっていないようです。ipadでスクショをとれるようなやり方があってもいいと思いますし、障害特性上板書が難しい児童を「できないと成績が心配」とするのはおかしいのではないかと思います。板書ができない分、ほかの分野に優れたものがあり、それを認めて引き出すのが、児童の将来に望ましいと思います。
個別支援級の教員は大変
板書問題は個人の教員の問題ではなく、制度的な問題です。支援級の教員は個別の対応が必要で、ご家族のご意見をうかがう機会もしばしばあります。「見守り」という授業を保護者が後ろから見守ることも行われたりします。
このような状況で、長男君の通学6年間に何人もの先生がメンタルをやられ、長期のお休みとなりました。教員のメンタル休暇はよくあることで、期間によっては厚生団体からお見舞金が出る制度があるほど負担が大きいものです。
教員のご負担を考慮したうえで、新しい機材やソフトウェアを利用した負担軽減ができればいいなと思います。