在宅支援の要件に注意
少し古いですが、令和5年1月20日に関西の就労継続支援B型事業所が指定取り消しになりました。その事由について素人なりに考察してみました。あくまでの障害福祉の学習者としてその事由と厚生労働省の通知内容について考察したものです。
今回も合同会社です
やはり今回も合同会社です。合同会社は営利を目的とできる法人ですが、形態は詳しくわかりません。意外と合同会社も多いのかもしれません。
指定が令和3年4月1日とのことで、本当に2年程度で運営指導ののち監査を経て取り消しになっています。対応が速いですね。この時期、新型コロナウィルス感染症の影響で、どの市町村も運営指導に入れなくて、在宅支援についても「できる限りの支援」といった文章が出ていたころです。
このような時期に2年程度で監査まで行きつくことになったのは何か理由があったのでしょうか。
事由は①サービス提供実績記録票、支援記録等を偽装し、不正に給付費を請求②報酬算定基準を満たさない不適切な在宅支援の実施③虚偽答弁と記載されています。
在宅支援の要件
「令和3年12月に実施した調査において実施した調査」で基準を満たさない在宅支援の実施があったと記載されています。その後も「基準違反状態である在宅支援の提供を継続」とあり、取り消しにつながる要因になったのかもしれません。どの部分が基準を満たさなかったかは記載されていません。
在宅支援については厚生労働省から何度か通知が出ています。また就労事業継続支援などの就労系サービスには厚労省通知で反映されています。
・平成19年度通知「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における 留意事項について」において、在宅により支援をする場合が定義されており、すでに就労系のサービスについては、在宅支援が認められていました。
・新型コロナウイルス感染症の影響で通常の通所が困難な一時的場合に備えて、「令和元年度台風第19号により被災した障害者等に対する支給決定等について」をひっぱりだしてきて、これを参考にするようにとの通知がありました。令和2年3月10日の「新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス等事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第3報)」では「利用者の居宅等において健康管理や相談支援等のできる限りの支援の提供を行ったと市町村が認める場合には、通常提供しているサービスと同等のサービスを提供しているものとして、報酬の対象とすることが可能」とあり、まー事前に市町村に届けなくても在宅やってできる限りやれば請求していいよとなったわけです。
生活介護などのサービスはこれを基に令和5年初めまで在宅支援が可能だったわけです。また、同年3月9日「新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱い等について (第3報)」では「柔軟な対応」と記載し、都道府県などの判断で要件を緩和していいよと記載があるわけです。
・就労系については在宅の新型コロナ対応の扱いは令和3年ごろには修正されました。「「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」の一部改正について」(令和3年3月30日付障障発0330第2号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)では、令和3年4月1日以降は、「在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者」との記載があり、事前に届け出て、市町村が効果的と判断しないとだめよというようになりました。
これって、都道府県により判断はずれますので、詳細は指定権者に確認が必要です。あくまでも私の考察の範囲です。
今回の取り消しについて
少し古い事例ですが、不正請求期間が令和3年5月から令和4年3月となっています。指定が同年4月1日ですので、翌月から不正だったと認識されています。欠席の日に請求したという部分もありますが、在宅支援はその要件が変更になった時期とかぶっているのかなとも思います。
通常行政が通知を発するのは厚生労働省から通知が発せられてからで、まして令和3年度は報酬改定の年で、自治体や事業所はてんやわんやだったことでしょう。通知の発出が4月だと、不正の認定は5月提供分からになるのかなと思います。この場合も不適合が指摘されるまでの期間が過誤相当分として、指摘以降(本件だと令和3年12月に実施した調査とあり、それ以降)が不正とされる場合もあるので、事案ごとに違うのかもしれません。今回は令和3年5月からが不正と認定されています。
在宅支援は、ほんとうに要件が難しく、どれか一つが欠けても過誤返還が必要になるので、難しいなーと思いました。思うんですが、事業開始からすぐ要件違反が始まるというのは、指定の際、該当の指定権者はどの程度相手方の制度理解を確認したのでしょうか。その辺が気になります。一番大変なのは利用者なのでなんとも難しいです。なお、この考察はあくまでも学習者としての考察の範囲内で考えたものです。