送迎加算は令和6年度からすこし変わりましたが2種類ありますので初学者として学習します
生活介護ではあまり見ない処分の一部停止
学習対象案件は古いものです。今回は生活介護の効力の一部停止処分です。対象法人も社会福祉法人であり、内容を公表する義務のある法人ですので、運営はきちんとしたものと思われます。
障害者総合支援法では監査に入った場合、結果としていくつかの措置を決定します。
適正に行うことの勧告、命令に始まり場合により指定の取り消しになります。この指定の取り消しは通常将来にわたって事業所の指定を取り消すことですが、不正の度合いや基準違反の内容により期間を定める「一部効力の停止」というものがあります。
これってよくグループホーム等では新規受け入れの停止があるかもしれませんが、今回の生活介護の新規受け入れの停止って、すみません私は初学者なもので、あんまり聞きません。だって生活介護って区分のついた方が入られるので、そんなに入れ替わりはないいじゃないですか。今回の処分内容はあまり痛みを感じないようにも思えます。
今回は送迎加算の不正認定です
送迎加算の不正認定で、新規受け入れの一時停止ってなんでそんな処分になったのでしょうか。関係性がよくわかりません。
期間が平成28年から令和2年終わりまでと長いです。そのため返還金は500万を超えていますし、加算金40%も課されています。
送迎加算には2種類ある
送迎加算とは居宅または事前に決められた場所への送迎を行うことで、加算が算定できるものですが、2つの要件があります。
・週3回以上(この場合、片道が1回とカウントします)
・1回の送迎で10人以上が送迎を使います(この場合送迎に使用する車は2台以上でも可)
以上の2つを満たすと、21単位(加算(Ⅰ))となり、いずれか一つでは10単位(加算(Ⅱ))となります。
少ないですね。ガソリン代がやっとかな。ところがここ、生活介護であることが大きいのです。区分5、6相当が一定以上(60/100以上)利用する事業所で送迎を行うと、対象でない区分4以下の利用者も含め、送迎のたびに対象者全員に28単位が重度加算として算定できます。返還額が大きくなったのはここに理由があると思います。(参考:令和3年度の単価です)」
今回は加算(Ⅰ)の要件を満たさないで請求したことと、その期間が55か月に及び、長かったことに加え、別の指摘事由もありました。
別の事業所の従事者が送迎していた場合_6年度改正の部分あり
社会福祉法人など大きな法人にありがちなものですが、都道府県などの指定権者により解釈が変わる可能性があります。だって別の事業所と同じバスで送迎できれば、人件費の節約になるし、どちらかの支援員が付き添えばよいので、事業所的に楽だったりします。これ、都道府県によってはダメなんです。送迎の運転手自体も支援員と時間を切り分ける必要があるかどうかが自治体により解釈が変わります。
今回は一緒に送迎したので、10人以上となり、個別の事業所では10人を割るので、加算(Ⅱ)で算定しなくてはいけないことが事由のようです。
なお、令和6年度報酬改定の解釈通知(障発 第 1031001 号平成 18 年 10 月 31 日)では、「他の障害福祉サービス事業所や、介護事業所と送迎に係る雇用契約や委託契約(共同での委託を含 む)を締結し、他の障害福祉サービス事業所や介護事業所の利用者を同乗させた場合においても対象となる」との追記がされています。したがって、現在であれば手続きを踏めば他の事業所と一緒の送迎も可能なのではないでしょうか。
なお、送迎は可能であっても1事業所当たり10人以上の要件は変更ないですので、この処分例のケースでは、送迎加算(Ⅱ)の該当にとどまるのかもしれません。
この事例では、事由としての虚偽報告はなく、なぜ指定権者は不正とまで認定したのか、単に勘違いで加算をとっていたのならば過誤による返還にとどまらなかったのか、それ以上の背景がわかりません。
なお、該当の留意事項通知は改正後全文を見るより新旧対照表を見たほうがわかりやすいので、自治体や厚労省のページから確認してください。